• 東京都市大学
  • 交通アクセス
  • お問い合わせ
  • 都市大グループ

ニュース

2020年09月17日

8/28 新型炉講究国際プログラム第2回を実施しました

博士後期課程「新型炉講究国際プログラム」の第二回として”Fast reactor fuels and irradiation behavior”(高速炉燃料とその照射挙動)が2020/8/28に行われました。

第二回講義に参加したのは、現在博士後期課程に在籍し、高速炉の安全解析や核変換技術の研究を行う社会人博士2名。第1回に続き、新型コロナウィルス(COVID-19)対策のためZOOMでのオンライン講義(日本語)となりました。3時間にわたる講義の概要は以下の通りです。

sato1

 

講義の概要:

高速炉を対象に、酸化物燃料、被覆管などの燃料・材料に必要とされる役割と性質のほか、燃料の熱設計、照射挙動等について学ぶ。また、次世代炉で使用が検討されている燃料形態(窒化物燃料、金属燃料、等)についても触れ、物性や照射挙動に関する特徴を習得する。さらには、照射挙動の1つである核分裂生成物挙動に関しては、福島第一原発事故に関連した研究について深堀した学習を行う。

sato2

まず、高速炉燃料として、酸化物燃料、窒化物燃料、炭化物燃料及び金属燃料に基礎的な性質を中心に解説し、冶金学、熱力学、結晶学、物理化学、計測手法、等の切り口で広く知識体系の整理を行った。特に、国内で商用炉燃料として用いられている燃料形態が酸化物であるため、内容は酸化物燃料に片寄ってしまうが、この燃料形態においては「化学量論」が大変重要となってくることなど、専門性の高い解説も行った。

次に、主に酸化物燃料に対する照射挙動に関して、燃料設計に影響を及ぼす挙動を中心に解説した。燃料径方向に生じる急峻な熱勾配のため生じる組織変化、核分裂生成物の発生、FPガスの放出、等がどの程度見込まれていて、設計にフィードバックされているか、その状況を概説した。

sato3

燃料仕様の変更に対する設計対応の研究開発例として、「マイナーアクチニドの消滅処理」に関して、燃料製造及び燃料設計を中心に解説した。マイナーアクチニドが燃料に含有されることで低下する性能を燃料設計及び炉心設計でどのような対応を行うことで克服されるかについて解説し、原子炉の柔軟性に関して論じた。

最後に、当研究室の最新の研究例として、核分裂生成物の有効利用に関する研究及びシビアアクシデント時の受動的炉心停止デバイスの開発に関して解説し、将来の原子力における燃料材料分野に関する可能性に関して指摘した。

sato4