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2020年12月19日

文部科学省 原子力システム研究開発事業に高木教授代表の研究提案が採択されました

 文部科学省の令和2年度「国家課題対応型研究開発推進事業 (原子力システム研究開発事業)」に、理工学部 原子力安全工学科 高木直行 教授らの提案が採択されました。

 同事業は、科学技術政策を遂行する観点から、国が直接実施する必要のある研究開発活動について、優れた提案を採択する競争的資金です。今年度は、原子力イノベーションの創出につながる新たな知見を見出すとともに、我が国の原子力技術を支える戦略的な基礎・基盤研究を3つのメニュー(基盤チーム型、ボトルネック課題解決型、新発想型)で推進するものです。

高木教授らの提案した「ボトルネック課題解決型」には、28件の応募があり、本件を含む4件が採択されました。今回採択された高木教授らによる提案は以下のとおりです。

・課題名:国内の原子力インフラを活用した医用RIの自給技術確立に向けた研究開発
・代表者:理工学部 原子力安全工学科 高木直行 教授
・概 要:
我が国で利用されている医用RI(医療用放射性同位元素)はほぼ全量を輸入に依存している。そのため、製造所や輸送中のトラブル、自然災害、紛争、パンデミック感染症等により、RIの医学利用や関連する研究・開発に支障をきたすことがあり、医用RIセキュリティーの強化が望まれている。また新たな悪性腫瘍の治療法として近年注目されている「α内用療法」(図1)向け短寿命α線源へのニーズも急速に高まっている。

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図1 Ac-225(半減期10日)の投与による癌腫瘍の消失例

 本研究では、放射性医薬品の基礎研究や臨床応用を行う医学分野、実験用研究炉を有する原子力研究機関、PWR設計・製造を行うメーカおよび核変換技術研究で実績のある大学の専門家が連携し、国内で既に設置されている商用炉や研究炉、具体的には商用PWRおよび高速実験炉常陽(図2)を用いて、診断用のRIとして需要の高いMo/Tcと、α内用療法に用いられる短寿命α核種(Ac-225)の生成(図3)と供給を行う国内自給技術の確立に向けた技術開発を行うことを目的とする。

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図2 高速実験炉「常陽」の炉心

 

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図3 高速炉でのRa(n,2n)法によるAc-225の生成

 発電が主目的の軽水炉を医学分野へ活用すること、高速スペクトル炉の特徴を活かしたRI製造技術を開発することにより、診断・治療用RIの国内自給技術の社会実装(図4)を図るとともに、軽水炉・高速炉利用におけるイノベーションと原子炉に対する社会受容の改善を目指す。

体制

図4 既存炉(PWRや常陽)を用いたMo(n,γ)法によるTc-99m供給体制の社会実装例

 

大学HPでの紹介