12/17 新型炉講究国際プログラム第3回を実施しました
博士後期課程「新型炉講究国際プログラム」の第3回として“Thermal Hydraulics and Safety Assessment for Advanced Reactors”が12/17に開催されました。
【実施報告】
新型炉講究国際プログラム「新型原子炉・革新的原子炉の熱流動と安全評価」
共同原子力専攻 鈴木 徹
第3回講義に参加したのは、現在博士後期課程に在籍し、高速炉の安全解析や核変換技術の研究を行う社会人博士2名。引き続き、新型コロナウィルス(COVID-19)対策のためZOOMでのオンライン講義となりました(日本語)。3時間にわたる講義の概要は以下の通りです。
講義の概要:
ナトリウム冷却型の高速増殖炉(FBR)や鉛ビスマス冷却型の加速器駆動型未臨界炉(ADS)等、革新的技術を導入した新型炉における安全評価の手法について、主に熱流体工学の視点から系統的に講究する。
まず、新型原子炉・革新的原子炉の様々な概念について整理した後、それらの安全評価とシビアアクシデントに対する考え方について学ぶ。次に、代表的な炉型としてFBRとADSを取り上げ、それらにおける安全評価の考え方、評価手法と評価実例、安全性の向上方策について学習する。
冒頭で新型原子炉・革新的原子炉の様々な概念について整理した後、深層防護の概念に基づく原子力プラントの一般的な安全目標を示し、その定量化で重要となる「リスク」の概念について解説した。これらを踏まえて、安全評価における「決定論」と「確率論」の考え方について、実例を交えながら説明した。特に、適切な対策による「安全性の向上」が「確率論」においてどのように位置づけられるのかについて、丁寧に紹介した。
次に、FBRにおける安全評価で対象とすべき様々な事象(大別して、炉停止失敗事象:ATWSと除熱系喪失事象:LOHRS)について紹介し、シビアアクシデントの発生を想定した場合には何を評価すべきか、即ち、格納機能の確保(シビアアクシデントの「閉じ込め」)を示すための評価上のポイントについて整理した。また、FBR原型炉における評価の実例を取り上げ、解析コードを用いた具体的な評価結果についても紹介し、現時点での到達点と今後の課題についても議論した。
最後に、FBRにおける安全性を向上させるために検討されている様々な設計対策の中で、将来的に導入が検討されている概念(再臨界の回避と微粒化による安定冷却)について紹介し、それらの有効性をどのように評価するか、実例と最新知見を交えながら解説した。以上と同様のアプローチがADS等の異なるシステムではどのように捉えられているかについても概説した。